アクセスランキング

【恐いい話】時空を超えて通じた思い

      2018/01/19

私が小学校三年生位の時の話です。

そのころ、とても仲よしだった、きよみちゃんという女の子が、クラスにいました。

彼女と私は、毎日のように学校が終わると、お互いの家を行き来しては、ふたりで遊んでいました。

その日は、彼女の家の台所のキッチンテーブルで、ふたりでドラえもんを読んでいました。

その内容は、ドラえもんが、のび太に切抜き絵本のようなものを出してあげます。

それには、ケーキやおかし、車など色々なものがあり切り抜いて組み立てると、本物のように、食べれたり、乗れたりするというものでした。

きよみちゃんと私は早速、

「おもしろい!まねしてみようよ!」

と、画用紙や、ハサミ、色鉛筆を持ち出しました。

もちろん本物になることなどありえないと、理解できる年齢でしたが、とても楽しかったのを覚えています。

そして、日も暮れかかり、私が家に帰らなければいけない時間になりました。

きよみちゃんは、いつもそうするように、玄関の外まで、私を見送りました。

そのとき、きよみちゃんが言いました。

「今日のこと、大人になっても忘れないで」

私はきよみちゃんが、いきなり変なことを言うのには慣れていたのですが、そのときは、彼女の様子がいつもと違うので、なんでー?と聞き返しました。

今こうしてふりかえると、確かにあの日のきよみちゃんは、いつもと雰囲気が違ったような気がします。

きよみちゃんは続けました。




「今日の私、32才の私なんだ」

ますます私には、訳が分かりません。

でも彼女は続けます。

「2018年だよ。32才。あなたのこと思い出してたら、心だけが子供の私に飛んでっちゃった」

はっきりいって、聡明とはほど遠かった(今もね)子供の私は、なんだかわからないけど、2018年と行ったら、超未来で、車なんか空飛んでたりする、という考えしかないくらい遠い遠い未来。

「ふーん。ドラえもんの未来からかー!」

なんて、ばかな受け答えしかできませんでした。

きよみちゃんは、そんな私を笑いながら、

「それが全然!マンガの世界とはちがうよー」

と言いました。

そして、私ときよみちゃんは、また明日遊ぶ約束をして、別れました。

今考えると、なんであのときもっと問い詰めなかったんだろうと後悔しますが、なんせ子供だったし、きよみちゃんも私と同様、ドラえもんの影響で、ふたりでよくSFチックなことを、夢見ていたので、別にきよみちゃんが私に言ったことが、そんなに変とも思わなかった。

翌朝、学校に行くと、いつものようにきよみちゃんが私に、話しかけてきます。

まるっきり、いつものきよみちゃんでした。

そして、私もまた、きよみちゃんが私に言ったことなど、すっかり忘れて、そのまま毎日が過ぎて行きました。

そして、私たちは5年生になり、それと同時に私は地方へ引っ越すことになりました。

そしてそのまま、きよみちゃんと、二度と会うことはありませんでした。

2018年。私は32才になりました。

そしてハッとします。

あの日のきよみちゃんの言葉を思い出して。

もしかして、もしかして、もしかして…と。

私はその後も、引っ越しを繰り返し、今では海外在住です。

きよみちゃんを探したいのですが、結婚してれば名字も変わっているだろうし、どうやって見つけられるか。

あの頃の私は、片親だったので

(当時はまだ珍しく、世間からは白い目で見られがちだった)、

「遊んじゃだめよ。片親なんだから」

と、思いっきりよその子供の親が、私の目の前で言うなんてことも、珍しくなかったし、大嫌いだった先生にも、

「片親だからね。目つきも悪くなるんだろう」

と言われたこともあった。

そんな中、きよみちゃんだけが、私の友だちで、子供時代の唯一の理解者であったと思う。

会いたいと思う気持ちがそうさせたのか、2週間ほど前に、"あの日"の夢を見た。

あの日と同じ、きよみちゃんのおうちの台所。

イッチンテーブルいっぱいに、画用紙と色鉛筆。

私が自分の家から持ってきた、コロコロコミックが二冊置いてある。

(当時コロコロコミックは、結構高価だったので、私ときよみちゃんは、かわりばんこに買って、ふたりで回し読みをしていた)

台所からは、6畳ほどの今が見え、きよみちゃんのお母さんが、緑色の座椅子に座ってテレビを観ている後ろ姿が見えます。

本当に、何もかもが、私がこの夢を見るまで忘れていたことまでが、はっきりと、目の前にありました。

きよみちゃんが、ケーキの絵を画用紙に描いて、色を塗り、私はその横で、ハサミを持って、きよみちゃんが描くケーキを見つめています。

私は、夢の中で、

「これは夢だ」

と自覚していました。

きよみちゃんが、ふと手をやすめて、私を見ます。

そのとき、私は彼女に言いました。

「きよみちゃん。今日の私も、32才!」

きよみちゃんは、びっくりした顔をしたと思うと、私を見つめて言いました。

「忘れなかったんだ…」

きよみちゃんは、半分泣き笑いような表情です。

私も、泣きそうになるのをこらえながら、言いました。

「ドラえもんの未来じゃなかったねー!」

そして、ふたりで泣きながらも、大笑いしました。

そして…私は目が覚めました。

32才の私の体で。

私は、泣いていました。

ただの夢だったと思う。

でも、私は時空を超えて、あのときのきよみちゃんに、会いに行ったのだと思いたい。

きよみちゃんが、そうしてくれたように。




 

 - 超常現象, 金曜日の恐い話 ,