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【怖い話】霊が見える人と嘘をついたばっかりに

   

幽霊を直接見たわけじゃないので全然怖くないかもしれないけど。
それでも割と最近の出来事で、今でもこの事で悩んでます。

私はオカルト好きで、高校でもオカルト研究会なんて妖しげなものに入会するぐらいでした。

それでそこにとても可愛い後輩がいました。
その子は背中まで伸ばしたストレートの黒髪をしていて、初めて見た時はまるで日本人形のようなんて思ったぐらいでした。
肌も白くて綺麗で同性から見ても食べちゃいたいと思うぐらい可愛い子です。
そんなわけだから会の皆が彼女を密かに狙ってました。

でも彼女はいつもどこか冷めていて、会に顔を出してはいてもいつも後の方でニコニコと相槌を打っているばかりで積極的に輪の中に入ってきませんでした。

だから会の中に彼女と仲良しになった者は誰もいませんでした。私はいつもそれをちょっと残念と思っていました。

そんなある日の事、私が街で買い物をしている時に偶然、彼女を見かけたんです。
彼女は建物と建物の狭い路地裏の入り口辺りに立っていて誰かと喋っているようでした。
彼女はとても楽しそうでした。

(もしかして彼氏かな?)

と思って、彼氏だったらちょっと悔しいし、私は日頃から彼女に少なからず好意を持っていたので声をかけてみようと彼女に近づきました。
声をかけてみようと彼女に近づくにつれ、私は異常に気がつきました。
彼女は誰もいない虚空に向かって話していたのです。
それもひとりごとではなくまるで誰かと会話をしているように。
私はそれに気づいた瞬間、

(あ、もしかして危ない人?)

と思いました。
普通の人だったらここで彼女は気違いなんだろうと思い敬遠する所でしょうが私は引き下がらなかったのです。
思えばこれが最初の間違いだったのかもしれません。

誰もいない路地裏、虚空に向かって話す少女。
オカルトかぶれの私はこのシチュエーションを見てピンと来てしまったんです。

(もしかして、彼女は霊と喋っているのかも?)

そしてあろう事か、私はこれは彼女と仲良くなれるチャンスかも、なんて思ってしまったんです。
私は意を決して彼女に話しかけました。

「○○ちゃん、その人だーれ?」

その時の私はどうかしていたんでしょう。
私は彼女が話しかけていると思われるモノがさも見えているかのような芝居をしたんです。

彼女は一瞬ひどく怯えたようにこちらを振り向き、しばらく何か悩んだ後、やがて私にこう言いました。

「先輩も、この人が見えるんですか?」

と。

それから後、私達はしばらく談笑しました。
彼女は人が変わったように明るく話をしてくれました。
私も嬉しくなって彼女の話を聞きました。

彼女が小さい頃から霊と話ができた事、誰も信じてくれなかった事、一度両親に精神病院に入れられそうになった事、そして自分と同じ能力を持った私に会えてすごく嬉しい等々。

もちろん私にそんな能力なんてありません。霊なんて見えないし話せないです。
全部嘘っぱちです。
話のつじつまを合わせるために私は

「自分は霊を見る事はできるけど話す事はできない」

とさらに嘘を重ねました。
そして彼女はそれを信じ込んでしまいました。

その日から彼女は私にかなり懐くようになりました。
研究会の人達も急に私達が仲良くなったのを見て驚きました。
私はそれで優越感を感じて気分が良くなり、彼女の言った事を一つも信じてはいなかったけど、そんな事どうでも良くなっていました。
ただ、彼女は私に気になる事を言ってきたんです。

「その人、先輩の事とっても気に入ったって言ってますよ」

「えっ?その人って?」

「ほら、先輩の隣にいる人。あれからずっと一緒にいますね」

もちろん私の隣には誰もいません。私は彼女が霊の事を言っているんだとわかりました。

「あ…ああ、これね。そうそう、なんだか好かれちゃったみたいで」

私はまた霊が見えているかのような嘘をつきました。
すると彼女はニッコリと笑って、

「良かった。フフフ、でもそんなにピッタリとくっついてるとまるでとり憑かれてるみたい」

と言いました。私はその時初めて背筋がゾーっとしました。

それからほどなくして私は体調を崩しました。
しかも一向に治る気配は無く、日に日に私は痩せ衰えていきました。
あまりにもタイミングが良くて、もしかしたらあの時の霊のせいかもしれないと思い始めていました。
だんだん学校も休みがちになってしまって、その日もベッドで寝ていました。
そうしたら件の後輩の子が私のお見舞いに来てくれたのです。
私は彼女の優しさに耐え切れなくなって、いままで嘘をついていた事を告白しました。
私が霊が見えるなんていうのは全部嘘だと聞いた彼女は、

「えっ、嘘…だって…それじゃあ……」

と言い、顔面蒼白になりながらうわ言のように呟きました。

「手遅れですよ、もう……」

それから彼女は研究会を辞め、たまに私とすれ違っても目も合わせてくれません。

私は今でも病気がちのままです。

 

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