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【怖い話】隣の部屋にいる妹と玄関にいる弟

   

5年くらい前につき合ってた女の話。

その子の名前は、まあエミ子ってことにしとく。

エミ子は水商売をしてて、俺とは中学の同級生だった。

店で偶然そのことがわかって、TEL番交換して、あとは省略。

ま、とにかく2~3日中には男女の仲になった。

エミ子は性格はきついしワガママなとこもあったけど、Hは最高で抜群に相性が良かった。

店が終わってから一緒にメシ喰ったり飲みに行ったり、その後はだいたいセックス。

終わった頃には夜が明けてるってパターンが多かった。

俺は普通に昼の仕事してたから体も財布も正直キツかったけど、のめり込んでたせいだろうな、たいして苦にはならなかった。

いい女なんてそんなモンだろ?そう思ってた。

とは言っても、先立つモンが無ければホテルにも行けない。

あ、先立つモンって金だよ。

セーリョクはあっても金が無かったんだ、若い頃の俺には。

家だってボロっちいアパート。

壁は紙みたいに薄くてオナニーの音まで聞こえそうだ。

だから、エミ子が住んでた2LDKのマンションでしようぜって話は俺が持ちかけた。

エミ子の返事はかるーくOK。

1秒だって躊躇わなかったハズだ。

マンションは4階建てで、エミ子の部屋は3階だった。

先立つモンを抑えて階段を昇る。

玄関入って磨りガラスのドアを開けるとすぐにキッチン。

その奥がエミ子の部屋だった。

和室にベット。

クッションやぬいぐるみは適量。

壁際には派手めの服がズラっと掛かってた。

コーヒーを飲む。

無駄話をする。

タバコを吸う。

文明人としての儀式を一通り済ませて、後はセー●クス!セ●~~ックス!!

1ラウンド終えて休憩中、ベッドの反対側にある襖が気になってエミ子に聞いた。

「あそこのさ、襖の向こうって部屋?」

「うん。妹の。」

(妹?一緒に住んでるのか)

何となく一人暮らしだと思ってた。

「今日は居ないのか?」

「大丈夫だって…」

そして、キス→セ●クス。

この日は2回で終了したが、やっぱり明け方になった。

それからしばらくはエミ子の部屋に通った。

休みの前の日なんかは泊まったりもしたさ。

妹の姿は見たことなかったけど、ま、そんなことはどーでも良かったんだよ。

若い頃の俺は、タダHが出来りゃ大抵のことには無頓着だった。

その日、珍しく俺とエミ子の休みが重なったんで、昼間っからデートしてメシ喰った後、いつもより早い時間にエミ子の部屋へ行った。

パワー50%増しの俺は、獣のようなセックスの後、日頃の疲れもあって眠ってしまった。

目が覚めるとすっかり夜中で、隣ではエミ子が寝ていた。

ノドがカラカラに渇いていたので、ベッドを抜け出して隣のキッチンの冷蔵庫を開け、麦茶のペットから直飲みした。

もちろんフルチンでだ。

ふと、玄関とキッチンとを仕切る磨りガラスのドアの方に目がいった。

向こうに誰か居た。




白っぽい服を着た人影がこっちを向いている。

とっさに(妹か?)と思った。次の瞬間、俺の頭をよぎったのは

  1. 冷蔵庫の明かりによって
  2. 腰に手を当てペット麦茶を飲む男の全裸イメージが
  3. 向こう側に投影されてしまっているのではないか?

などという、今から考えると本当にどーでもイイ実に間の抜けた懸念だった。

しかし、5年前の俺は今よりもずっとウブでシャイだった。

だから、初対面のレディ(想像)に失礼のないよう冷蔵庫の扉を閉めた。

…ガチャンッ思いの外大きな音がして驚いた。

こっち側が暗くなったせいで、磨りガラスの向こうの人影が少しハッキリ見えるようになった。

小太りで背が高い。

ジーンズを履いているようだ。

(男?)背格好からはそう思えた。

だけど、誰だ?

別のオトコか?

二股?

いや美人局?

ヤクザ?

それとも…

まさか父親?…

秒単位で加速する俺の妄想。

それをよそに、人影は磨りガラスの向こうでジッと動かずにこっちを伺っている。

(おいおい、ちょっとヤバくないか、これって…)

すっかりチキンに成り下がった俺が抜き足差し足でベッドに戻ると、エミ子はまだ眠っていた。

「…オイ、起きろ、起きろってば…」

「…ンン…何?」

エミ子が寝返りを打ってこっちを向いた。

機嫌が悪そうだ。

ヤヴァ…

イヤ、今はそれどころじゃない。

勇気を振り絞って、さっきの男について聞いてみた。

「白い服?デブ?」

顔をしかめてエミ子が聞き返してきた。

「そうだよ。誰なんだ?お前の知り合いか?」

「…たぶん弟よ。」

「弟も一緒に住んでるのかよ?」

「違うわよ。私に弟なんていないもの…」

「なに言ってんだ、お前。」

「だから…弟になるはずだったヤツ。死産よ。シ・ザ・ン。」

「ま、マジかよ…」

「時々来るのよ。気持ち悪い。すげえオタクっぽいんだから。メガネかけたデブでさ…」

「それって…お前、見たのか?」

「…うん、半年くらい前かな…あそこのドア開けて入って来たのよ…」

磨りガラスのドアの方を指さしてエミ子は言った。

「…帰れって言ったら居なくなったんだけどね…」

エミ子は面倒臭そうに続けた。

「でも、それっきり妹が部屋から出てこなくなっちゃった。」

そのあとセ●クスして、エミ子とは別れた。

それから一度も会ってない。





 

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