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【怖い話】禁忌に当たる獣

      2019/02/22

知り合いの話。

彼の親戚に筆作りの名人がいた。

彼が書道をたしなむせいもあって、よくその伯父さんの家に遊びに行っていたそうだ。

ある時、一本の変わった筆を見せられたことがあるという。

見た目は普通の白毛筆なのだが、何というか、手触りがえらく気持ち悪かったらしい。

毛の一本一本が、まるで自ら指にまとわりついてくるような気がしたのだという。

これはグチの毛から作った筆だ、と伯父さんは言った。

グチというのは伯父さんが勝手に付けた名前で、本当の名前は猟師しか知らないそうだ。

一種の禁忌に当たる獣らしく、その毛皮は滅多に手に入らない。

伯父さんの数代前の先祖が、かなり無理をして入手したということだ。

その筆には、人を呪う力があると伝えられていた。




呪いたい人の名前をその筆で書くと、ひどい災いがその人に降りかかるのだと。

試す気にもならないけどな。

そう伯父さんは苦笑していた。

伯父さんは、つい先日に亡くなったそうだ。

呪い筆がどこに行ったのかは、もう彼にはわからないのだという。




 

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