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【怖い話】傘を差す女

   

これは俺が小学校の話だからもう十数年前の話になる。

その時俺はS県のとある市に住んでたんだけど、そこそこ田舎だったんだよね。

家から駅まで大人の足で30分ぐらい歩かないといけないし、子供の足でなんてもっと遠かった。

その頃両親は共働きだったから、俺は鍵っ子だったんだけど、親は二人とも帰ってくるのが遅かったから、夕方を通り過ぎて夜まで友達の家で遊ぶなんてしょっちゅうだった。

そのせいか夜の暗い道を歩くのは慣れてたんだよね。

ある夏の日、たまには駅まで母親を迎えに行こうと思って、よせばいいのに軽い冒険のつもりで駅に行くことを決めたんだよね。

で、ちょっと早めに行こうと思って、20時くらいに家を出たんだけど、夏とはいえずいぶん暗くなってた覚えがある。

でもまあ暗い道を歩くのは慣れてたし、前に書いた通り冒険感覚だったからちょっとワクワクしながら家を出たんだ。

でもそこはやっぱり田舎だからさ、住宅が密集してるとこと違って駅までの道は家もそんなに無いし、街頭もあんまり立ってないから本当に怖いんだよw

家を出るときに感じてたワクワクなんて歩き始めてすぐにふっとんだね。

だけどここで帰るのもカッコ悪い気がして、ずんずん進んで行ったわけさ。

風で揺れる木にビクビクしたり、草むらがガサゴソいう音に驚きながらねw

そんな感じで、家から駅まで3分の1くらい行った辺りに国道があるんだけど、そこは結構明るいのよ。だからホッとしてたんだ。

だからかな、そこから駅に向かう一本道にバス停があるんだけど、そこに雨も降ってないのに傘を差した女の人がこっちに背中を向けて立ってるのよ。

あの時は本当にびっくりしたね。

たぶん1mくらい飛び上がったんじゃないかと思う。

だけど駅に行くためにはその道を通らなきゃいけないから、特に気にしないふりして通り過ぎたんだよ。

で、国道を通り過ぎるとそこからまた真っ暗な道に変わるわけなんだけど、そこからしばらく行ったT字路を曲がった時にまたビックリした。

さっきの女の人がまた立ってるんだよ。

今思えばこの時点でおかしいし、すぐに帰るべきだったけど、小学生特有の変なプライドがあった俺は、さっきより早足でその人の後ろを通り過ぎた。

その傘を差した女は柵があって先が見えないちょっとしたカーブの先にまで立ってた。

この頃の俺はよく幽霊番組とか見ても笑って寝ちゃうようなガキだったんだけど、この時ばかりは本気で怖かった。

なんせ曲がったところの目の前に立ってたんだから。

それで俺、動けなくなっちゃってさ。

目の前に微動だにしない傘を見ながら立ちすくんでたのよ。

どんくらい時間が経ったか知らないけど、結構な時間が経ったように思えた頃にようやく目の前の女が歩き始めた。

俺は、その傘が見えなくなるまでホントに身動き一つしなかったと思う。

ようやくその女が見えなくなって、助かったって思ったね。

すっごい長い溜息をしたよ。

それでふと後ろを向いたらさっき道の先に消えてったはずの傘が目の前にあったんだ。

もう限界だったね。

よくホラー映画とかで人間びっくりすると悲鳴あげながら逃げていくけど、あれってかなり余裕あると思うよ。

その時の俺は小便洩らしながら全力でダッシュした。

多分これからの人生でもあれ以上早くは走れないんじゃないかと思う。

気づいた時には駅員さんに慰められてた。

多分、恐怖のせいでまともな話はできなかったと思うけど、駅員さんが優しく慰めてくれてた覚えがある。

 

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