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【怖い体験】地元で超有名な廃墟

   

僕には霊感が強いなどと言うものはなく、霊体験のようなものは一度しか体験したことはありません。

しかし、その一度があまりにも強烈で恐ろしいものだったので、今でもはっきりとその時の情景を思い浮かべることができます。

あんなに恐ろしい思いはもう二度としたくはありません。

これから話すことは、その時僕が実際に体験した、正真正銘の実話です。

実際に体験したときの怖さがうまく伝わるかどうかわかりませんが、できる限り鮮明に書いていきたいと思います。

かなり長い話になりますので、覚悟して読んでください。

※なお、登場人物はすべて仮名にしてあります。また、詳しい地名は伏せることにします。

霊に対する認識を変える心霊スポット体験

今から約10年前のちょうど夏が終わった頃、当時大学1年生だった僕は念願のクルマを手に入れて、毎晩のように友達とドライブを楽しんでいました。

その日も、友達5人で集まって雑談などしているうちに、

「ヒマだから心霊スポットツアーにでも行こうか!」

という話になり、僕の車に男5人で乗り込み、出かけました。

「あそこだけは行きたくない」

実際のところ、僕が心霊スポットに行ったのは、このときが最初で、そして最後でした。

なぜなら、この体験のあと二度と、絶対に、そんなところへ行く気にはなれなかったからです…。

このとき一緒に出かけた5人のうち、3人(今井、中野、水谷)は地元の出身でしたが、僕と竹田の二人だけが地方の出身で、大学のあるその地域についてはまだあまり詳しくはありませんでした。

したがって僕は、地元出身の3人に案内されるがままに車を運転し「人柱があるとされているトンネル」「自殺者が後を絶たない滝」など、心霊スポットを何カ所か回りました。

5人とも霊感とかそういったものは持ち合わせていなかったこともあり、特に変わったこともなく、僕としては少し期待はずれのような気がしていました。

程なく、中野が

「次は、○○にある廃墟に行ってみない?」

と言いだしました。

すると今井が突然焦ったように

「ち、ちょっと待ってくれ。俺、あそこだけは絶対に行きたくない。頼むから勘弁してくれ。」

と言い始めたのです。

今井は、さきほど行った心霊スポットで、ヤバイとされている滝にふざけて立ちションをしたりするほど怖い物知らずな奴でしたので、不思議に思った僕達は理由を聞いてみました。

全員事故死

今井が言うには

「あの廃墟は本物だ。本当にヤバイらしい。ずっと昔に火事があって一家4人全員が焼死した家で、その後何度も取り壊そうとしたが、そのたびに事故などのトラブルが起きて、結局取り壊せないままになっている。数年前に暴走族の数人がふざけてその家に火をつけたが、

そこにいた全員が事故死している。

と、ここまでは僕もよくあるネタ話だなーと思って聞いていたのですが、今井はこう続けました。

「浪人時代に俺の友達がそこに行ったんだ。そいつはそこで大変な目に遭った。そいつが俺に忠告した。『あそこだけは行かない方がいい』って。」

「大変な目」がどんなことは、いくら聞いても今井は教えてくれませんでした。

地元出身の中野と水谷も、「○○の廃墟」についての噂は聞いたことがあったらしく

「うん、あそこはヤバイらしいよね。やめとこうか。」

などと言い出しました。

ところが、他の二人、つまり地元出身じゃない僕と竹田は

そんな話を聞いて俄然ワクワクしてきました。

怖いもの見たさ

今までの心霊スポットが期待はずれだったこともあり、どうしてもそこに行ってみたくなったのです。

行きたい派の僕と竹田、行きたくない派の今井・中野・水谷でしばらくの間議論して、たどり着いた結論はこうでした。

「その場所まで行くことは行くが、行きたくない派3人は車から降りなくていい。どうしても家の中に行きたいなら僕と竹田だけで行く。」

そして僕たちはその廃墟に向かいました。

その廃墟は人里から少し離れたところ、うっそうと茂った草むらの奥の方に建っていました。

道端に車を止めると、背丈以上もある草むら(木々かも?)の向こうの暗闇に、その廃墟の2階部分がうっすらとようやく見えるほどでした。

つまり、その廃墟に近づくには、生い茂った草むらの隙間にわずかに残っている小径の名残?のようなものを10メートルほど奥にかき分けていかなければならなかったのです。

僕と竹田は車の中でもう一度3人を誘ってみましたが、3人は「行かない」の一点張りでした。

仕方なく僕と竹田は二人で車を降り

「あいつら意外と臆病だよね。」

「おー、ここはホントにけっこういい感じだぞー。マジで出そう。ワクワクするー。」

などと言いながらその小径へと足を踏み入れました。

異様な雰囲気

小径に一歩足を踏み入れたその瞬間、なぜか僕は言いようのない恐怖に駆られました。

小径を覆い尽くすかのように両脇から生い茂っている草、

その奥の暗闇の中にうっすらと見える廃屋…。

今まで感じたことのない、あまりの気味の悪さに僕は思わず足を止めてしまいました。

竹田も同じように感じたらしく、僕と竹田は小径の入り口で立ち止まったまま顔を見合わせ、話しました。

「ち、ちょっと…ヤバイな。」

「う、うん。ヤバイ。」

「どうする?やめる?」

「でも行きたいよな。」

「うん。行きたい。」

「やっぱ、二人だから怖いんだよ。あいつら連れてこようよ。」

そうして僕らはもう一度車に戻り、再度3人を説得にかかりました。

3人はやはり「行きたくない」の一点張りで、車中の説得は相変わらず平行線のままでした。

車のドア

僕たち二人が車に戻ってから10分ほど経った頃でしょうか、僕はふと、あることに気が付きました。

(室内灯がついてる…)

僕は当然のように、半ドアを疑いました。

当時の僕のクルマはホンダのシビックで、ご存じの方もいると思いますが、当時(現在もかな?)のホンダ車には、運転席のメーターパネルの中に各ドア&トランクの開閉状態が図で表示されていたのです。

そこで、僕はそれを見てみると、助手席のドアが開いている表示が出ていました。

僕は助手席に座っていた今井に

「そこのドア半ドアになってるから、ちゃんと閉めて。」

と言い、今井も「あ、そう。」と言いながら、一度カチャッとドアを開けて、バタンと閉めました。室内灯も消えました。

しかし、そのときはまだ誰も気づいていませんでした。

その場所で車を降りたのは運転席に座っていた僕と、後部座席左側に座っていた竹田だけだったこと。

一番怖がっている助手席の今井がドアを開けるわけがないことを…。

ドアのことなどあっという間に忘れ、僕たちは再び車の中で行こう、行かないの議論(説得)を繰り返していました。

そしてさらに数分たった頃、僕はまた気づきました。

(また室内灯がついてる…)

表示を見ると、また助手席。

終わりの見えない議論に少しイライラしていたこともあり、僕は今井に少し強めの口調で言いました。

「おい、さっきちゃんと閉めてって言っただろ。」

「え?ドア?お前何言ってんの?俺さっきちゃんと閉めたよ。」

「だってそこ、まだ開いてるぞ。」

今井はおそるおそるドアノブを引くと、明らかに半ドアの

「カチャッ」

という軽い音とともに、ドアは開きました。

今井は急いでドアを閉めて言いました。

「ちょっと待ってくれよ、おれさっき閉めたよね?カチャッて開けて、バタンってちゃんと閉めたよね?みんな聞いてただろ?」

一同

「うん…。聞いてた。」

聞こえてくる、静かに、しかしはっきりと力強い声

考えてみると、僕は室内灯が消えたのも確認していたのでした。

全員が今起こったことを反芻するために黙りこくった、その時でした。

「…てよ…き…てよ…」

明らかにこの世の物とは思えない、おそらくは中年の女性と思われる声で、それは私たちに呼びかけていました。

「聞こえた!?」

「今の聞こえたよね!?」

「今の何!?」

「逃げよう!」

僕はもうパニックになり、とにかく一刻も早くそこを離れなければと思い、ハンドルを握り、ギアを入れ車を発進させようとしました。

そこで、気づいたのです。

また、室内灯がついていることに。

しかし、今度は半ドアではありませんでした。

横を見ると、なんと、今井がドアを開けて車を降りようとしているのです。

「おい!今井!何やってんだ!早く乗れ!行くぞ!」

僕は叫びました。

すると今井は、意外なことに驚くほど冷静な顔でゆっくりとこちらを振り返りました。

それは本当に何事もなかったような顔でした。

目がうつろとか、薄笑いを浮かべているとか、そのようなことは全くなく、普通の、無表情な今井の顔でした。

しかし、僕にはそれが逆に不気味に感じられました。

「俺、行かなきゃ。」

今井は言いました。

「はぁ!?」

「俺ちょっと行かなきゃ。先帰ってて。」

「バカお前何言ってんだ!帰るぞ!早く乗れって!」

ところが今井はそのまま何も言わずドアを閉めてその廃墟の方へ歩き出してしまいました。

僕らは「もう完全にこれはヤバイ!!」と思い、全員車を降りて今井を止めに行きました。

僕たちに取り押さえられた今井は、意外なことにそれほど抵抗もせず、きょとんとしたまま車へと引きずり戻されました。

僕はすぐに車を発進させ、帰途につきました。

あと少し遅かったら

車中で誰かが

「今井、大丈夫か?」

と問いかけると、今井は普通に

「うん。」

と答えていました。

すこしボケーっとした様子でした。

何となく、誰もが先ほどの出来事にはもう触れたくないような雰囲気になり、僕らは口数少なく、コンビニに寄って、僕の家に帰りました。

まだすこしボケーッとしたままの今井のことは心配でしたが、誰かの冗談に微笑む様子も見られたので、そのまま5人で雑魚寝しました。

次の朝には、今井はすっかり元通りの今井に戻っていました。

少し経ってから、今井以外の4人で「あのことについて今井に話すのはよそう」という暗黙の了解みたいなものができました。

その後、僕たち5人に特に変わったことは起こりませんでした。

そして、今井が居ようと居まいと、僕たちの間では誰もその話題に触れることは無くなりました。

僕の話はここまでです。

今思い出しても嘘のような話ですが、これは本当に僕たち5人が実際に体験した実話なのです。

あのときドアを開けて今井を呼んでいた存在とは…

そしてもしあのとき僕たちが廃墟に入っていたら、もし今井を連れ戻すことができなかったら、などと想像すると本当に鳥肌が立ってきます。

みなさんも、興味本位で心霊スポット巡りをするときは、気をつけてください…

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。

 

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