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【恐怖の体験】ただただ目の前のカラビナを頼りに…

      2017/10/13

高校3年間、山岳部にいた。

そこで俺が体験したんだが、霊的現象と言うより、疲労がもたらした錯覚だろうと思う。

入山2日目の、肌寒い小雨が降る日だった。

副部長の俺は列の最後尾についていた。

10人くらいのパーティだったと思う。

夜明け前に出発し、まだ真っ暗な中だった。

俺の前を歩くやつのザックに、カラビナ(金属のわっか)がぶら下がっていて、それが目の前できらきら光りながら揺れている。

晴天の山行と違って、周りの景色も見えず、俺はひたすらそのカラビナを見つめて歩いていた。

その日体調が悪かった俺は、もうろうとしながらカラビナにくっついて歩いていたと記憶している。

霧雨のせいで、夜が明けてもガスって薄暗く、前のやつもよく見えない。

遅れがちな俺はそのカラビナだけが目印で、ようやくついて行ける状況だった。

数時間歩き、いい加減休憩にしろと前を見ると、前に誰もいない!

ヤヴァイと思った。

ガスで視界数メートル、はぐれたら相当まずい。

寒気がした。

きょろきょろと周りを見回してもガスのむこうに木立が見えるだけで、人影がない。

とりあえず上に向かって歩けば出会うはずだと歩き出した。

十数分ほど歩くと、前にきらきら光るものが見える。

カラビナの反射光だ。

追いついた、と安心した俺は、遅れた恥ずかしさもあって、黙ったままやつの後ろに付いて歩いた。

副部長だし、はぐれるのはやっぱり恥ずかしい。

何か聞かれたら、クソだったと言えばいいや。

そうして高度を稼ぐうちに、雲の上に出た。

ガスが消え、景色が広がった。

が、またも前に誰もいない。

おかしい。

数秒前まで確かに目の前にカラビナの光が揺れていた。




だが、今度は前と違って景色が見える。

地図を見てナビゲーションできる。

俺は地図とコンパスで、現在地を確認した。

もうすぐ一つ目のピークだ。

かなり疲労していたが、休憩せずにピークまで歩いた。

するとそこには、部の連中が休んでいて、部長が血相を変えて駆けてきた。

俺のことを皆で心配していたという。

話を聞くと、連中は1時間近くも前にそこにつき、俺がいないことに気が付いたというのだ。

変な話だ。

確かに俺は、10分ほど前まで連中の後ろにいたはずなのだ。

部長や他の部員のマジな顔を見ると、俺をかついでいるようには見えなかった。

霧の中で俺が見たカラビナは、何だったんだろう。

誰か、他のパーティだったのか。

それなら、なぜ急に姿が見えなくなったんだろう。

今でも不思議に思う。

もう10年も前の話でした。





 

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