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【怖い話】死のツーリング…もしも気付かなかったら今ごろは

      2016/12/21

その友人を仮にA(男)としよう。

Aはどっちかというとリーダー的存在だった。

みんなを引っ張っていくというより飄々とした感じの性格で、自然とまわりに人が集まるような感じの奴だった。

そんなAのバイク仲間の一人に、Bという男がいた。

Bはちょっとマイペースな性格で、ツーリングでも時々自分勝手な走りをしてAやみんなを困らせるような人だったらしい。

しかしどっちかというと気の弱い方で、根は悪い奴ではないので、仲間としてそれなりに付き合っていたという。

A曰く、

「クラスに一人くらいはいるじゃん、悪気はないけど自分で気付いてないっていうか、天然っていうか…それほど仲いいってわけでもないけど悪いってわけでもない、そんな友人の一人」

だそうだ。

ある日、いつものように仲間とツーリングして、その帰りのこと。
すっかり日は暮れていた。
途中で自由解散となって、Aは帰りの方向が同じBと一緒に走っていた。
しばらくすると、前を走ってたBがいきなりウインカーをだして、一軒のファミレスに入っていった。

Aは(…またか、しかたねーなー)と思いつつ、Bについていった。

Bは、トイレから出てくると、

「ごめん、なんか喉乾かねえ?」

と笑いながら席に座った。

Aは(お前トイレいってんじゃん)と苦笑しつつ、店員を呼んだ。

えらく無表情な店員がやってきて、

「いらっしゃいませ」

と、テーブルの上の、オススメが描いてある紙の立て札を見せつける。
それにはパッションフルーツドリンクが描いてあった。

Aはめんどくさかったので、

「ああ、じゃあこれ一つ」

と言うと、Bも

「あ、じゃあおれもそれ」

と続ける。

「パッションフルーツドリンクお二つですね」

と店員は冷ややかに答える。

Aは、なぜかやけに眠気を覚えていた。

Bは、そんなAにお構いなしに、たわいもないことを話しかけていた。

いつもはそれほどおしゃべりな方ではないそのBの態度が少し怪訝に思えてきた。

いつの間にか、目の前には、真っ赤なパッションフルーツドリンクが来ていた。

少しうとうとしながら、Bの話に適当に相槌をうってると、

「おいA!ちゃんと聞いてるのか?」

Bの思いがけない口調にAは驚いた。

「き、聞いてるよ」

いつもの気の弱そうな彼とはうって変わった厳しい口調で続ける。




「Aはいつもそうだ。おれのいうこと全然聞いちゃいない。おれのことなめてるだろ?」

「そ、そんなことねえよ…」

なぜか眠気はやまない。

「嘘付け!お前らいつもおれの陰口を言ってるんだろう?!」

Bはどんっ!とテーブルを叩いた。

その反動でドリンクがぶちまけてしまう。

ジュースが服にかかって真っ赤に染まる。

が、冷たくない。むしろぬるいくらい。

Aはジュースを拭こうとするも、あまりにもの眠気で体が思うように動かない。

見ると、Bの服も真っ赤に染まってしまっている。

Aは、必死に眠気に抗いながら答える。

「陰口なんか言ってねえよ!仲間じゃねえか!」

事実、Aは性格上そういう陰口とか大嫌いだった。

「ほんとか?仲間なんだな?」

「あたり前だ!今日も一緒に走っただろ?」

「じゃあ、帰りも一緒に走ってくれるんだな?」

その時Aはなぜか、(やばい!)と思った。

次の瞬間、Aの携帯が鳴った。

さっき別れた別の仲間からだった。

眠気の中、必死に携帯に出ようとする。

「…走ってくれるんだろ?」

Bは、目をかっと見開き、、すさまじい形相でAを見据えながら聞く。

「お前もこいつ(携帯の相手)も仲間だ!」

Aは思わず叫ぶ。

やっとの思いで携帯の通話ボタンを押す。

携帯からは、何故か、両親が自分の名前を呼んでいる声が聞こえた…

…Aは、病室で目覚めた。

ツーリングの帰り、AとBのバイクが接触し、転倒したらしい。
下りの坂道で、二人からまって道路から落ちるような形だったそうだ。
二人とも生死の境をさまよう程の大怪我を負い、Aは奇跡的に生還し、Bは、Aが目覚める前に息をひきとったという…

終わり




 

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