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【怖い話】探し物には一切心当たりがありません。

   

オレ結構、寺とか下町が好きで、その日早朝、上野から谷中のほうにゆっくり車ながしてたのね。

あそこら辺てやっぱ古い建物とか寺とか多いんで、そういうのがあると近くに車を停めて眺めたりとかしてたんだ。

その頃はあんまり上野の細かい地理まではわからなくて、言問い通りを過ぎて

「ここら辺は墓地が多いなあ」

なんて思ってた。

それが谷中墓地あたりだったのだけど、気にも留めず寺とかを探していた。

細い道に入り、塀の向こうに古い建物が見えたので、車を停めようと場所を探した。

シケインのような曲がり角の先に車が停められる場所があったんで、車を停めて、さっき古い建物が見えたあたりまで、歩いて戻ろうと、角を曲がると、そこに犬を連れた女がいたんだ。

早朝だし、犬の散歩をしているのは、何も不思議ではないんだけど、

その女の風貌は一見して不気味で、オレは女が歩いてくる方からできるだけ離れるように道の端を歩いて、目のはしでその女を観察した。

1年半前とはいえ、不思議なんだけど、あれだけ強いインパクトがあった事なのに今のオレの記憶はとてもあいまいなんだ。

女はたぶん白いワンピースを着ていた。

そしてその白いワンピースは薄汚れていたように思う。

10mぐらい離れていて不気味に思うぐらいだから、その汚れ方は普通以上だったように思うけど、あまりはっきり覚えていない。

髪は胸ぐらいの長さがあって、何日も洗ってないような感じだった。

年はそんなにいってないような印象は受けたけどはっきりはしなかった。

連れていた犬は、種類はわからないけど、西洋種の犬で、手足の長い大きな白い犬だった。

犬もおかしかった。

ところどころケロイドか皮膚病かはわからないが、

毛が抜け落ちていて、皮膚が赤みがかっていた。

女はなんかちょっと放心状態で歩いている感じだった。

記憶があいまいで、何故かはっきり見ているはずの顔は全然思い出すことができない。

幽霊かも、といった気持ちはまったくわかなかった。

はっきり見えていたし、何というか、存在感があったんで、ここら辺のホームレスだろうと思っていた。

ホームレスが犬の散歩…若い女…なんか不思議な気持ちだったのを覚えている。

通りすぎる時に女がじっとこちらを見る視線を感じたが、

かまわず通りすぎ、さっき見えた古い建物を見に行った。

古い建物はやっぱりお寺で、なかなかの風格があって、オレはそれに満足して、車へと戻った。

ここからが怖いところなんだけど、角を曲がり、

車が見える場所まで来ると、

さっきのあの女がオレの車の中を覗いてたんだ。

6月とはいえ停めている車はすぐに暑くなるんで、

窓を少しだけ開けていたんだけど

その隙間から女が中を覗いているのが見えた。

オレは車の中に物を置いとくのが好きではないので、

興味を引くような物なんて見えるはずもないのに、

その女はオレが寺を見ている間の10分くらいオレの車を覗いてたんだろうかと思った。

不気味で、怖いという印象もあったが、怒りの感情もあってオレはわざと足音をたて、タバコを吸いながら、車へと歩くと、女はちらっとこちらを見て、また放心した感じで歩いていった。

それでここからは昨日の話なんだけど…

昨夜女の子を乗せて走ってたんだ。

それでなんか怪談話になって、その女の子はお決まりの

「私、霊感あるの」

的な事を言い出した。




オレは怖い話は好きだけど、幽霊とか心霊現象とかは全く信じないんだ。

けど、

「幽霊なんかいるわけないじゃん」

とか頭ごなしに言うと空気が悪くなるんで、黙って

「ふーん」

とか言いながら、受け答えしていた。

それでちょっと興味が出て、

「この車とかに誰か乗ってるとかって言わないよねえ?」

とか聞くと、その女が

「言っちゃっていいの」

とかもったいぶって話始めたんだ。

「車の中にはたしかにいないんだけど、車の前のほう、たぶん下にへばりつくように女の人がいるの。髪が長い人でワンピースを着てる。なんかを探してほしいみたい」

っていうような事を言いいだして、オレは上に書いた出来事が頭によぎって体が寒くなった。

それで女の子に1年半前の体験を話すと、奇妙に一致して(後付けの部分も多いんだけどね)、その女の子が言うには

「(オレは根がやさしいんで、それを見抜いていて)きっといなくなった犬を探して欲しいだと思う」

との事らしい。

正直、内心

「知らねーって」

とは思いました。

話は以上です。





 

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