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【怖い話】心霊現象アタリマエのアパートには扉の変わりに壁が…

   

ずいぶん前の話。

当時大学生だった俺は6畳ワンルームのボロアパートに住んでいた。

閑静な住宅街で住み良くアパートにさほど不満は無かったけど

唯一ケチを付けるなら、心霊現象っぽい事がよく起きることだった。

朝起きると口の中に1メートルぐらいの黒髪が1本入ってたり、

夜決まった時間に赤子の泣き声が空室の上の部屋から聞こえたり、

金縛りは月に4.5回あって慣れたもんだった。

お陰さまで俺の住む101号室以外の部屋は常時ほぼ空室で

(入室してもみんな2週間で出ていく)

そういった現象に目を瞑れば、

1台しか停めれない駐車場も使い放題、

ギター弾いても文句言う奴もおらず快適だった。

原因は何となく分かっていた。

アパートの1階に部屋は4室ある。

しかし部屋に入る扉は3つしか無い。

その事に気付いたのは住み始めて暫くしてからだが、

アパートはL字の形になっていて101号室から103号室は横並びに扉を構える。104号室は突き当たった壁にある。

はずが、無いのだ。

そこにあるのは壁だけ。

なぜそこにあるはずと思うかは、2階にはその位置に204号室の扉があるからだ。

何が理由か分からないが

104号室の扉があるべき箇所を壁で塞いでいるという事になる。

さらにご丁寧にも外から室内が見えないように、

ベランダにはアパートで唯一造植物が敷き詰めるように並べられている。

何だこれは、怪しすぎる。

104号室の状況に気付いた時はそう思ったが、

既に101号室で起きていた現象を思い出すと

あぁ、ここか

と府に落ちたのだった。

そんなアパートで4年間暮らし、

就職が決まったのを機に引っ越す事になった。

丁度そのタイミングでアパートのオーナーが替わったようで、改装が始まっていた。

退去予定を翌日に控え、部屋を片付けゴミを外に出そうとした時だった。

扉を開けてふと横を見ると、改装業者が、

例の104号室の扉があるはずの壁を壊している最中だった。




普通に考えれば8部屋しか無いアパートの1部屋を潰しておく理由は無く、新しいオーナーもそう思ったのだろう、と考えながらゴミを回収BOXに放り込んで部屋に戻った。

しばらくした後、コンビニに向かう為外に出ると、104号室の壁はすっかり壊され扉は外されており、中が伺えるようだった。

改装業者はおらず、4年間自身に起きた現象はここが原因と見ていた俺は、どれ覗いてやるかという気持ちにかられ、そこに近付いていった。
造りからして、正面から見ると玄関の壁しか見えず、玄関を右手に折れると室内があるようであった。

数歩近づいたところですぐ違和感に気付いた。

今見えている玄関の壁。

煤けて黒くなっている。

何年も人が入っていない事からそうなっているのかと思っていたが、どうやら違うようだ。

文字が書かれていた。

その壁が煤けて黒くなっていると勘違いする程にビッシリと小さな文字が。

恐らく壁の地の色は白かったはず。

俺の部屋がそうだからだ。

文字の隙間程に地の色は覗かせているが、

小さな文字の集まりが壁を黒く染めていた。

薄気味悪さを感じ足を止めた俺は、不思議とその壁から目が離せずにいた。

文字のひとつひとつは小さく何と書いてあるか判別できなかったが、

線の流れからして全て平仮名で書かれているように感じた。

その壁の中央右側、唯一判別できる程度大きく書かれた文字がある。

まさひるや

そう書かれていた。

その文字が意味する事は何か全く分からない。

しかしその文字が目に入った瞬間、少しの吐き気を感じたような気がして、踵を返しコンビニに向かった。

翌日、シートで中が見えないように隠されたその場所を横目に俺は引っ越した。

それから2年後、すっかりそのアパートの事を忘れて過ごしていたが、ふと休みの日にドライブ先の目的地として以前住んでいたそのアパートを見に行こうと思い立った。

その後104号室に誰か住んでいるのだろうか。

2時間かけて車を走らせ地理の懐かしさを感じながら目的地に到着した。

到着と言ってもアパート周辺は路駐できるような箇所は無く、狭い道が続く為、アパート前をゆっくり通りすぎながら観察する。

意外な光景だった。

当時改装業者が壊した壁は、すっかり壊す前の状態に修繕されていたのだ。

ベランダ側に回ると変わらず104号室ベランダは造植物が敷き詰められている。

俺が住んでいた101号室には洗濯物が干されていて、他の部屋はカーテンが無い。

あの部屋では何があったのだろう、何が住んでいたのだろう。

あの文字の意味は何だったのか。

改装業者は何を見たのだろう。

今、101号室に住んでる奴は何考えてんだろう。

国道を走る車内で、そりゃ俺もそうかと思い帰路についた。




 

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