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【怖い話】失ったものを求めてさまよう人々

      2017/08/18

わたしが大学の時に、群馬県の方に旅客機が墜落しました。

季節は巡り、悪友とツーリングに行こうという事になりコース関係上、墜落した付近の峠を走らねばなりませんでした。

悪友はいっさい、心霊や妖怪といったものは信じない人なので、

「毎年、供養のために花とか関係者が上げているじゃないか。出るわけないよ!」

と、平気な顔をして言います。

わたしは彼に、

「みんな(身体の部分)見つかっているわけじゃないだろ……あぶないって」

と、言ったのですが、聞くわけがありません。

だって、コースを変更すると、目的地へは4時間は余分にかかるのですから……。

しぶしぶ、そのコースを取ることとなりました。

果たして、問題の峠の入り口に着きました。

路肩にバイクを止め、一休みしていると、悪友はわたしを尻目に、

「ひとっ走りしてくるわ」

と言ってコースに入って行きました。

しかし、10分もしないうちに戻ってきます。

戻ってきた友人に、

「早かったな。何かあったのか?」

と聞くと、友人は何をあせっているのか、バイクのサイドスタンドさえ立てるのもおぼつきません。

平静を装おうとしますが、震える彼の手がすべてを物語っています。

ようやく、ヘルメットを外した彼の顔は、蒼白状態でした。

「出た……。出たんだよ……」

「何言ってんだよ。いつもの担ぎだろう。お前に見えるわけないだろ……」

と言って、わたしはバイクのエンジンをかけようとしました。

しかし、なかなかかかりません。

「あれっ、おかしいな……さっきガソリンを入れたのにな」

「やっぱり……、冷やかしに来た俺たちに来るなといってるんだ……」

「冷やかしに来たのは、お前だろ……」

再度キックするとエンジンはかかりました。

「じゃ、ひとっ走りして見てくるわ」

走り出して、7~8分位すると、なにやら山の雰囲気が違います。




いつもの生き生きした躍動感なく、時間が止まっている感じです。

「まずいな……やっぱり近くにいるぞ……」

つぎのコーナーを曲がった時、それは的中しました。

肩のもげている者

足がへし折れている者

頭が潰れている者

全身ただれている者……。

上げたら切りが無い程の人たちが、ボロボロの状態で列を成し、奥へ奥へと歩いています。

「うわ…、これはまずい……、気付かれないうちに戻ろう」

出来るだけ静かにバイクを停止し、Uターンをしました。

いや…気付かれてはいるのでしょうが、こちらへは近付こうという気配はありませんでした。

戻ると友人が心配そうに待ってました。

「な……」

「うん……」

わたしたちのやっと出来た会話はこれだけでした。

言葉少なく、わたしたちはコースを変えました。

それ以来、この夏の時期はそこを通ることはしませんが、今も出るんでしょうか……。

自分の身体を求めて……。





 

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