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【怖い話】乗客全員にお札が貼られた地獄行き電車

      2016/07/16

ガタン!

「ッ!?」

俺は激しい衝撃を体に感じた…目の前には電車の床があった。

「そうか…眠っていたんだな」

そう呟いて俺は体勢を立て直した。

それにしてもこの電車は静かだ…。

誰一人として喋らない。

それどころか、瞬きもしないし、ほんのちょっとだって動きやしない。

目は空を一点に見つめていて、口はあんぐりあけている。

…気味が悪いな。

そう思った時だった。

「っ……あれぇーー?」

変な事に気付いた。

乗客のおでこと、口と、胸に、お札の様なものがはってある。

おでこは赤、口は青、胸は黄色だ。

しかもそれは乗客全員はられていて、はられて無いのは俺だけだった。

「なんだよ…これ…」

俺は鈍感だが、そんな俺でもさすがに恐ろしくなった。

これじゃあ、まるでマンガに出て来る様な「死人の乗ってる電車」じゃあないか。

何とかして脱出せねばならぬと考え始めた時、プシューッ!車両のドアが開いた。

そして車掌が立っていた。

「……!!」

ゾッとした。

車掌はこの車両を見回し、そして俺の方を向いた。

「……まだはられてなかったのですね…」

低い声で呟いた。

そして、車掌の制服のポケットから、例の三色のお札を出した。

(なんだあれ…!やばい、絶対やばい。アレをはられたら、死ぬにちがいない!)

そう思った俺は、電車から脱出するために走り出した。




車掌はそんな俺を、恐ろしい顔でにらんだ。

(っこ…こっちを見るな!)

心の中で叫び、後ろの方にある隣の車両に繋がる扉を、強引に開けた。

やはり隣の車両も、同じ様に皆お札を貼られ、無表情だった。

後ろからゆっくりと車掌が追い掛けて来る。

俺はまた走り出した。

「っは…はぁ…っく…!この電車は何両あるんだっ!!」

そう叫んだ俺の目の前に、またもや扉が。

後ろをちら、と振返った。

追い掛けて来る車掌は、バイオハザードのゾンビみたいにわらわらと増えている。

「く…そっ!」

扉を開けた。

ゴオォォォォ…………!

突然突風が吹いた。

車両はさっきので終わりだったのだ!

電車は俺から見て後ろに進んでいる。

ここから飛び下りて引かれる心配はない。

しかし物凄い早さだ。

引かれなくても、骨折とかをするかもしれない。

「どっ…どうしよう……」

後ろを向いた。

恐ろしい顔で追い掛けて来る車掌達がいた。

俺は、意を決した。

「あんなヤツらに殺されるくらいなら、骨折がなんだ!」

バッ!

「うわああああ!」

ガタンガタンガタン………

電車は通り過ぎて行った。

車掌は追い掛けてこない。

俺は…助かった!

しかしやはり、腕の骨が折れているようだ。

激痛が走る。

おまけに足から血が…。

俺はよろよろと立ち上がり、あの電車から逃れるかの様に歩き出した。

血が出る足をひきずり、腕をおさえ、よたよたと歩く。

「はぁ…はぁ…痛いな………俺…どうなるのかな……」

頭がぼんやりしてきた…死ぬのかな…。

そう思った時…!

「出口……?」

まぶしい光が目の前に現れた。

俺は思わず目を覆う。

きっとこれで助かるんだ…。

俺は、希望と安堵に満ちた顔で光に近付く。

「これで……きっと………」

パアァァ……。

「そう思うのは早いぞ」

「!?」

車掌かッ!?俺は光のまぶしさに瞑った目を開けた。

眼中に入って来たのは、見るにもおぞましい光景だった。

串刺しにされた人…燃やされる人…ぐちゃぐちゃになった人…拷問を受ける人………。

「な、なんだ……ここは!?」

どこからともなく、低い地に轟く様な声が聞こえた。

「ここは地獄だ。男。お前は天国へ行く電車に乗っていたのに、神にあらがい電車からおりた。よって罰として地獄に落ちたのだ!」

それを聞いて愕然とした。

そして思い出した。

俺は事故にあって死んだ…。

あの時の激しい衝撃は、事故の衝撃だったんだ!

「なに…?そんな…あれ……うそだ……うそだ……うわああああああああ!!」

俺の声は、地獄のかまどの業火にかき消されたのだった。




 

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