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【怖い話】不動産屋が説明責任を果たさない借家の恐怖

   

昔の職場の同僚から実体験として聞いた話なんだけど、心霊体験話の型にはまりすぎているので本当のところはわからない

(この話を聞いたのは十年位前)

その同僚が大学に行ってた頃、美術系のサークルに所属していた。

そいつの先輩が結婚するとか同棲するとかで引越しをする事になった。

先輩は格安の一戸建てを借りる事になっていた。

当然のように、サークルの後輩達は引越しの手伝いに借り出されたのだが、1人霊感の強いという女の子がその家を見て顔色が変わった。

(ここは嫌な感じがする)

しかし、そんな事を言い出せるはずもなく黙っていた。

荷物を中に運び込み、とうに日が暮れた頃

「荷解きは明日でいいや」

という事で、皆で酒を飲み始めた。

この家は一見何の変哲もない一軒家だったのだが、少し変わった間取りになっていて、階段の途中に中二階のような物置があった。

戸には鍵が付けてあって、階段の手摺がドアをジャマするようにはみだしている。

妙と言えば妙だが殆どの人間は大して気にも留めていなかった。

二階の間取りは6畳と8畳くらいの和室で部屋の境は襖になっている。

それを取っ払うと十数人の人間でもくつろげるほど広々としていた。

同僚は階段の一番近くで酔っ払って横になっていた。

彼の後ろは廊下になっていて障子が閉められていた。

深夜になった頃、そいつは誰かが階段を上がってくる足音に気がついた。

その音は

「ズルッ、トン、ズルッ、トン」

というように聞こえ、まるで足を引きずりながら階段を上がってくるような気がしたという。

不思議な事にその音を聞いた瞬間、酔いは醒め、冷たいものを一気に飲み込んだように寒気がしたという。

しかし

「気のせいだよな」

と思い返し誰かがトイレにでも行ったんだろうと自分に言い聞かせた。

その時、部屋の中はシンと静まり返っていて妙な雰囲気が漂っていた。

廊下の方を向いていたそいつが皆のいる方を振り返ると…

全員が起きていて、恐怖に引きつった顔でそいつの後ろ、つまり、階段のほうを凝視していた。

其々の顔を見ると、確かに全員がその部屋にいる。

霊感の強い女の子は涙をボロボロ流して他の女の子にしがみついていた。

耳が痛くなるほどの静けさの中で

「ズルッ、トン、ズルッ、トン」

という音が聞こえている。

そしてそれは段々と上に上がってきている。

そして音は、そいつのすぐ後ろで止まった。

「いや~やめて~」

突然、霊感の強い女の子が泣き叫んだ。

「子供がいる」

女の子はさらにそう叫ぶと顔を伏せてガタガタ震え出した。

そいつはすぐにでも飛んで逃げ出したかったが勇気を振り絞って障子を開けた。

誰もいない。

少しホッとしたが逆に別の恐怖がやつを襲った。

女の子は下を向いたまま何も話そうとはしなかった。

「誰もいないよな」

沈黙に耐えかねた1人がそう言った。

それから男だけ数人で、階段や下の階、押入れやトイレ風呂場も見て回ったが何も誰も見つけることは出来なかった。

ただ、例の中二階の物置だけは鍵が掛かっていたためか避けようと思ったのか見る事はなかった。

それからはどんな話をしても、いくら酒を飲んでも雰囲気は変わらなかった。

しかし、昼間の疲れが出てきたのか自然と一人二人とうたた寝をする者が出てきた。

早朝に近い深夜

階段を上がる足音がまた聞こえてきた。

部屋の中に前よりも強い緊張感が張り詰めた。

女の子は毛布を被ったまま震えている。

「やばいんじゃないこれ」

先輩が思わずつぶやいた、そしてまた足音がすぐ近くで止まった。

その瞬間を見計らうように障子を開けた。

「誰だ!」

しかし今度も其処には誰もいなかった。

誰一人眠り込む者のいないまま夜が明けた、外が明るくなると、先輩が口を開いた。




「何だかわかんないけど、ここに住むのはやばそうだ。不動産屋に文句を言ってみるよ、ただちょっと気になるところがあるんだ」

それは、あの中二階の物置の事だった。

そして、先輩は鍵を壊しその遮られているかのような戸を開けた。

物置の中に入ってみると中は思ったよりも狭く、ただ埃っぽかった。

窓はなく薄暗い。

外から差し込む光だけでは心もとなかったが、そのうち誰かが電気のスイッチに気が付いた。

明るくなった物置の中は特に何もなくがらんとしていた。

「物置というよりは部屋くらいの広さがあるな」

「でも、ちょっと奥行きが狭いですね」

やつが部屋の奥の壁をトントンと叩いた、妙な音がする。

壁が薄いというか、板が一枚くらいしかないような感じだった。

「周りの壁は漆喰なのに、ここだけ安っぽい壁紙ですね」

この奥に何かある、とその場にいた全員が思った。

皆が何かにとりつかれたように、ただ黙々と壁紙を剥がし打ち付けられた釘を引き抜いた。

そのうち、一枚の板が外れた。

先輩は中をのぞきこんだ。

「あれは何だ?何かがいっぱいある」

それは二畳ほどの空間に山の用に置いてあった。

子供が遊ぶための「おもちゃ」だった。

理由はわからないが瞬時に鳥肌が立った。

引越しは中止になった。

先輩は不動産屋に苦情を言った。

すると不動産屋は一切説明はしなかったがすぐに別の物件を紹介してくれ、敷金や礼金も返還してくれた。

ただ、あの家の事については最後まで何も教えてくれなかった。

そして

しばらくしてから、その引越しの時に一緒に行った友達がやつのところにやってきた。

「あの、こないだの引越しの時に写真撮ったじゃん」

「やっぱり何か写ってた?心霊写真?」

「というか、まぁ見てみろよ」

友人の差し出した写真は二階の部屋の丁度、中央で撮られた写真だった。

二つの部屋を仕切る襖を取り外し、その梁の下で皆が思い思いのポーズで写っている。

その皆の頭上の梁には人が首を吊る時のようなロープのようなものがくっきりと写っていた。




 

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