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【ゾッとする話】豪胆ではなく超鈍感ビビリ

   

一年前、とある旧家に入婿として迎えられました。

そこは、数百年前から続く由緒正しい家柄なのですが、何か雰囲気が違います。

空気が違うと言うか、家そのものが醸し出す異質な空間の雰囲気とでも言いましょうか?

とにかく、外の空気とは明らかに違うと言う事だけは鈍い私にも何となく判ります。

入婿の儀式と言う訳の判らない事が三日間も続き、私はその日は一人で奥の部屋に泊められました。

その時、嫁には

「何かあったら直ぐに知らせてね」

と言われましたが、何のことやらサッパリわかりません。

私はいい加減疲れていたので、布団に入るとぐっすりと眠ってしまいました。

翌日、嫁や舅等がわらわらと私の元にやってきます。

「やはり、うちに娘が選んだだけの事はある」

等とべた褒めです。

却って、私のほうが恥ずかしくなるような感じでした。

ともかく、気難しげに私を睨んでいた昨日とはうって変わって、皆が私を大歓迎してくれました。

こうして、私は逆玉とでも言いましょうか、この旧家に迎え入れられたのでした。

嫁には弟が居ましたが、私が入婿として入った時に何故か家を出てしまいました。

その彼が、私の元に来て言った言葉があります。

「貴方は本物のようだ。僕は今まで修行を必死にやってきたが、あの試練は乗り越えられなかった。貴方なら、この家を任せられる」

寂しげに言って彼は去っていきます。

私はこの時、彼の言った言葉の意味をもっと深く考えるべきでした。

しかし、何を言っているのか判らないけど、とり合えず、認めてくれたのだとは思いました。

一年程私は取り立てて何をするでもなく、普通のサラリーマンとして暮らしていました。

「働かなくても良い」

義理の両親はそう言ってくれましたが、やっぱり自分が働かなくては…そう思い自由にさせて貰いました。

その条件としてあの部屋に時々、泊められましたが、空気は変な気がするものの、何も変わった事はありませんでした。

しかし、その夜テレビでやっていた「リング」を嫁に強引に誘われて見る羽目になってしまい、その夜は寝付けませんでした。

布団を被って寝ていましたが、何か音がします。

布団を持ち上げて隙間から周囲を覗うと、

枕元に人の生首が転がっていました。




一瞬、思考が停止してしまいましたが、その首が恨めしげに

「やっと…気が付い…」

そう喋ったのです。

私はその言葉を最後まで聞くことなく気を失ってしまいました。

翌朝になって嫁に起こされました。

私は昨日あったことを嫁に伝え、この部屋はおかしいと訴えたのです。
しかし…

「何言ってんの?あの部屋は元から霊の住処よ?貴方は一年も耐え切ったじゃないの。今更何言ってんの?大丈夫?疲れてるんじゃないの?」

嫁は心底心配そうに言ってきます。

そうです。

あの部屋は代々この旧家に入婿として迎え入れられる男を審査する為の部屋だったのです。

霊能者としての資質を見るためとも言います。

私は、あの部屋で一晩明かした事で、豪胆と看做され、次期当主として相応しいと思い込まれたのです。

何と言うことでしょう。

私はこの一年というもの、幽霊はおろか、オカルト現象にすら全く気が付きませんでした。

昨日も、あんな映画を見なければきっと朝までぐっすり寝ていたでしょう。

実を言うと私は幽霊とか苦手で、嫁の手前、結婚前は強がっていましたが、一人で恐怖映画を見る事もできません。

と言うより、夜トイレに行けません。

霊感とはおよそ無縁なのに、いつの間にか次期当主ということで話が進んでいきます。

私はどうしたら良いのでしょう?





 

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