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【ゾッとする話】出しそびれたラブレター

      2018/01/10

A子さんには高校時代好きな男の子がいました。

お互いの気持ちも知れていて、淡い予感を秘めていた卒業前。

彼は彼女を残して交通事故で死んでしまいました。

その5年後。

A子さんは同級生のB子さんを連れて母校を訪れました。

懐かしそうに、しかし少し困ったような顔をしながら校内を見て回るA子さんと、それを不安気に気遣うB子さん。

その時、廊下の奥を誰かが横切りました。

A子さんの視線を捉えた先には、見覚えのある少年がありました。

「…君!」

青ざめるB子さんを置いて、A子さんはすでに走りだしていました。

追いかけてはいけない!

B子さんの制止を振り切って、A子さんは彼の姿を探しました。

階段を曲がったと思ったら、そこにはもう姿がなく、やっと目線の端で捉えられるような所に一瞬だけ現れるのです。

二人はいつのまにか、以前自分たちが使っていた階にいました。

その視線の先には、ひとつの教室がありました。

ドアからひらひらと手招きする手を見て、B子さんは鳥肌がたちました。

あの教室の中に入れば、一体どこに繋がっているというのか。

しかし、A子さんにとってそんなことはもう頭の中にありませんでした。




例え、この先に何があっても、あの時掴めなかった手を今とれるなら。

A子さんがあと一歩という瞬間、B子さんが叫びました。

「お願い、連れて行かないで。A子結婚するの」

教室にA子さんが飛び込んだその時、教室には陰ひとつなく、一通の古びた手紙が机の上に置かれていただけでした。

彼の出しそびれたラブレターが彼女の許に届けられたのは、5年の歳月を経た後でした。




 

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