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【ゾッとする話】アパートのトイレで突然の監禁体験

   

今年の春、いまのアパートに移り住んだころの出来事です。

安さだけで選んだ1Kの部屋は笑えるほど70年代テイストでした。

台所や風呂には手が入っているもののトイレは昔ながらの和式便器。

でもぼくが気になったのは後づけされたトイレの鍵でした。

ライフルのガチャガチャやるレバーみたいな造りの鍵です。

それがどうしたわけか内側ではなく外側にネジ留めされていました。

4月のある晩、テレビを見終えてトイレに立ったときのことです。

ふいに背後で小さな金属音がしました。

鍵です。

あの鍵をかけられたのです。

確かめなくてもわかりました。

ドアを隔てて人の気配を感じたからです。

放尿はすぐに止まらず床やズボンを汚しましたが、とにかく息を殺しました。

そうすることでドアの外に立っている何者かが去ってくれると思ったからです。

しかし気配は消えません。

根競べをするようにそこに留まっています。

極度の緊張からか耳鳴りがしてきました。

ぼくの精神はもう限界です。

「たーくん、なんで閉じ込められたかわかる?」

声をかけられました。

女です。




ぼくが硬直していると、女はドアを打ち鳴らしながらわめき出しました。

「聞いてるのたーくん!言いなさい!たーくんはなんで怒られたの!」

そのときのぼくは泣いていたと思います。

大の大人が怖くてべそをかいたのです。

狂ったような怒声とノックはしばらく続くと、スイッチを切ったように静かになりました。

「たーくん、わかればいいのよ。今度から気をつけなさいね」

再び金属音です。

もうだめだと身構えた直後、外の気配は消え去っていました。

ぼくは30分ほどトイレに籠っていたでしょうか。

1時間だったかもしれません。

いまでもこのアパートに住んでいます。

でもトイレの鍵だけは外しました。





 

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